パーソナライズ化とは何か~情報提供の効率を上げる~
このページの主題「パーソナライズ」「パーソナライゼーション」なるものが最近のWEBサイトでは重要視されています。
とはいえ、横文字で言われてもピンとこないという方も多いはず・・・
そこで今回は「パーソナライズ化」とは何なのか、「パーソナライズ化」でできることをご紹介したいと思います。
パーソナライズとは結局何なのか?
そもそもの言葉 Personalize(d) を直訳すると「個人向けにする」とするのが適切でしょうか。
WEBサイトにおけるパーソナライズもその通りで、「ユーザーの年齢、性別、行動のパターンから、より適切で役に立つものを動的に表示する」ことを指します。
つまりWEBサイトに表示する項目を「個人向け」にしています。
分かりやすい例で挙げると、WEB広告が身近ですね。WEBサイトを閲覧していると最近調べたコンテンツの広告が表示されることがあります。
「こないだ調べた本の広告が出ている」「探していた地域の物件情報が出ている」これがパーソナライズです。
あなたが最近≪興味のある(検索した)≫もの、あなたが最近≪必要としている≫ものを過去の閲覧履歴やページ遷移の状況から分析して、あなたにぴったりの広告が表示される仕組みです。
もし、閲覧したサイトに全く興味もかかわりもない広告が表示されていたら、その広告は目に留まらずひとつも意味を成さないでしょう。
ですが、パーソナライズによってその人の興味のある・関連のある広告があったら、思わずクリックしてしまう可能性は上がりますね。
パーソナライズによるメリット
上記の説明の通り必要とされている情報が表示されることによってそのページに滞在する時間が長くなったり、ページ自体の満足度が上がったりすることがわかっています。
このことから、企業や組織のWEBサイトをパーソナライズすることで「より閲覧してもらえるWEBサイト」にすることが可能になります。
パーソナライズの結果として具体的に以下のような利益が見込めます。
-
高いコンバージョン率
例えば、商品ページがあって、その商品を実際に購入した人数をその商品ページを見た人数で割った数がコンバージョン率です。商品ページの閲覧から購入まで進む確率が高くなります。(商品ページについては一例で、購買にかかわらないことに関してもゴールを設定することが可能です。)
-
エンゲージメントの向上
閲覧するページの数や、ページスクロール量の増加、再訪率向上など、ページに対してより多くの興味を持ってもらえるようになります。
-
直帰率の減少
WEBサイトにアクセスした人のうち、最初のページだけを見て(別のページを見ずに)、すぐに別のウェブサイトへ移動するかブラウザを閉じるかした人の割合を直帰率といいます。パーソナライズによってその割合を減少することができます。
-
顧客定着率の改善
読んで字の如く。サイトにまた来てくれる、また利用してくれる人を増やすために有用です。
-
ブランドの認知や親近感、ロイヤリティの強化
ユーザーからの信頼度を上げ、繰り返し利用してもらいやすくすることで、安心して利用できる・満足度が高いサイトにすることが可能です。
-
リード顧客の獲得、利益の増加
リード顧客とは、簡単にいうと「見込み顧客」のことです。営業活動をするうえで、将来的に契約や購入を見込める顧客へのアピールとなるでしょう。
-
クロスセルやアップセルによって注文数・売上が増加する
クロスセル、アップセルは顧客単価を上げるための営業手法です。クロスセルは、セットとして関連商品を勧める手法。アップセルはより高額な商品を勧める手法です。パーソナライズされたサイトはクロスセル・アップセルを効率的に取り入れ、注文・売り上げに貢献します。
NetflixやAmazonのサービスを利用したことがあるでしょうか。この2社のサービスはパーソナライズが適切に行われています。
何度もメニューを操作せずとも「この商品も一緒に買われています」「あなたにお勧めの動画」など自動で表示されますよね。
データによると、Amazonのパーソナライズの技術は、ユーザーごとに543ドルの収益に結びついているそうです。
これはオンラインの小売業者の中で最高です。
パーソナライズの方法と注意点
ここまで、パーソナライズとは何か、パーソナライズのメリットを読んでいただきました。
ここからは、パーソナライズをする際に大切なこと、パーソナライズの方法についてです。
まず、パーソナライズの質を高める4つの質問をご紹介しましょう。
-
ターゲットの消費者は誰か?
世の中には数えきれないほどの分類があります。
パーソナライズでよく用いられる分類は「デモグラフィックやセグメント、興味、性質、行動、カスタマージャーニーの段階、購入プロセス」などです。
「年齢、性別」などもベタですが分けられそうですね。 -
なぜパーソナライズするのか?
パーソナライズすることによって求める効果を具体的にしておきましょう。
見込み顧客の獲得や売上の増加、ブランド好感度の向上、顧客の維持などでしょうか?
目標や指標を明確にし、ターゲットを絞る理由や、目標を達成するのに必要な努力を定めましょう。 -
何がパーソナライズされるのか?
パーソナライズする箇所を定めましょう。
ユーザーのプロフィールや入力した項目に基づき、Webサイトのどの要素がどのように変更されるのかを明確にしておきましょう。 -
サイトのどのページをパーソナライズするのか?
トップページをパーソナライズ、下位ページをパーソナライズ。目的によって変わってくると思います。
ユーザーが検索結果を通じてサイトを訪れた際にどの経路でそのページに導くかある程度のパターンを考慮しましょう。
ここまで決まったら早速導入していきたいですね。
ですがその前に、一度よく見直しましょう。
やり過ぎ、憶測はいけません。
パーソナライズは選択肢をユーザーに合わせた形で絞っています。ですが結果的に、訪問者にとって必要な情報も排除していませんか?
Amazonではユーザーの過去の行動に基づいて製品を紹介していますが、提案されたもの以外の新しい製品にアクセスすることを制限してはいません。
ユーザーの求めているものはいつも決まっているわけではありません。使いづらいサイトにしてしまわぬよう、憶測はやめましょう。
設定を修正できるようにする。
ユーザーがパーソナライズの設定を上書きできるようにしましょう。
データに基づいているとはいえ、間違いは起きるものです。そのため、ユーザーがパーソナライズを修正できるように自由入力できる選択肢を設けておきましょう。
例えば天気予報を表示するとき、ユーザーの住んでいる地域をデフォルトで表示しておきますが、ユーザーの設定次第で家族の住んでいる地域だったり、会社のある地域だったり自由な設定に修正できることが必要です。
モニタリングとテストをしましょう。
パーソナライズは一度作ってしまえば終了とはいきません。
仮説が正しいか間違っているかを実証する十分なデータが得られるまで検証を続けて、結果への影響を調べましょう。
少しずつ改善を重ねていくことで、より精密なパーソナライズができ、それはユーザーの満足度の向上にもつながります。
技術的に可能だったらなんでも実行していいわけではありません。
パーソナライズは、ユーザーにとって価値のある情報を最優先としています。マーケティングや営業チームのためにあるのではありません。
ユーザーが必要としている情報は何か。目指したいゴールをしっかりと見据えて、実現のための努力をしましょう。
ユーザーの満足度を上げることができれば、意図した利益が結果としてついてくることでしょう。 ここまでの文章が僅かでもパーソナライズを考えている方の後押しになれば幸いです。
(via 憶測で失敗しないためのパーソナライズ戦略)