パーソナライズDMを導入すればECショップの売り上げは上がる?

ダイレクトメールのパーソナライゼーション

インターネットショッピングを利用したり、スマホアプリでチケットを購入したりすると、運営の会社からダイレクトメールが送られてくることがあります。多くの方がメールを受け取った経験があるのではないでしょうか。

ネットショップ運営をしている方には身近なワードのダイレクトメール。
そこにパーソナライズの技術を盛り込んだ「パーソナライズDM」なるものが注目されているのはご存知ですか?

パーソナライズについてはこれまでたくさんの事例と共にご紹介してきました。
(参照:パーソナライズ化とは何かパーソナライズでの成功事例
パーソナライズDMは、メールやアプリだけではアプローチしきれない顧客に対し有効で、デジタルマーケティングやWEB解析で取得した情報をもとに、最適化されたDMを発送するというCRM(顧客管理)施策の一つです。

このパーソナライズDMを用いて、ここ数年高いレスポンスを獲得する事例が増えているそう。
いったいどんなものなのか、メリット・デメリット、費用対効果についてご紹介します。

顧客にあわせてコンテンツとタイミングをチョイス

そもそもパーソナライズDMとは、今までの普通のダイレクトメールの進化系とイメージしてください。
進化したのはパーソナライズの名が付く通りで、「コンテンツ」や「タイミング」です。

パーソナライズDMで高い費用対効果を実現しているEC通販企業の例

多くのEC通販企業が導入している「カゴ落ちDM」。カート内に商品が入った状態ですが、購入確定まで至っていないお客様に「お買い忘れはありませんか?」とメールを送信する方法です。
カゴ落ちDMで重要なのは、お客様がカートに入れた商品とDMを送るタイミング。「離脱してから○日後」など、購入意欲が高まっているうちにDMを送付します。そのタイミングをパーソナライズのシステムで管理することにより、ベストなタイミングでベストな内容のDMを送ることができるのです。

コンテンツとタイミングを最適化することによって、パーソナライズDMは5%前後という高いレスポンス率を実現しているそうです。

他にも、2回目リピートの促進や休眠顧客の掘り起こし、定期解約後の復活など、課題に応じて、タイミングやコンテンツを最適化してDMを送付することができます。

また、その先の対応として、「カゴ落ちメール」を3回送信しても反応しなかったお客さまに、パーソナライズDMを郵送で送付することも有効な施策といえます。
一見スマートフォンが普及し、各家庭に1台はパソコンやタブレットがあるような時代に紙媒体を選ぶのは非効率的のような気がします。なぜわざわざそうするのでしょうか?

紙のDMに乗り出すEC通販企業が増えている

メールやLINE、アプリだけでは、顧客の半数以上に”無視される”

MAやアプリ、LINEにチャットなど、テクノロジーの進化に伴い、新たなマーケティングツールが誕生。EC通販でも、 マーケティングプロセスの自動化を進める企業が急速に増えています。

しかし振り返ってみると、LINEで毎日数回送られてくるクーポン情報や、毎日メールボックスに入っている興味のないDMは開きさえもせず無視してしまいがちです。挙句フラストレーションになってメールの設定を解除したり、ラインの通知を切ったりしてしまうこともあるでしょう。

「デジタル施策を行う企業は増加しているものの、成果を実感している企業は増えていない」というデータもあります。
企業としても、メルマガの開封率が全盛期に比べ低下し、「メールが効かなくなった」という実感があるようです。

顧客とデジタルのみでコミュニケーションをとっている場合、半数以上の既存顧客にアプローチできていないという結果も出ています。これは施策上問題です。売上の機会損失につながっていることは言うまでもありません。

「デジタルのみでは、リーチできない」ということは、「アナログで伝えれば届く顧客がいる」という可能性が見いだせます。これに最初に気づいた人はとてもポジティブかもしれませんね。

アナログ施策は、デジタル施策と比べてコストが高い

DMの一番のメリットは、開封率の高さにあります。自分宛ての場合なんと74.3%(出典:2018年「DMメディア実態調査」一般社団法人日本ダイレクトメール協会)というデータも。
しかし、何でもかんでもアナログで送ればいいというわけでもありません。紙媒体にすると、用紙代、印刷代などコストがかかります。
そこでDMが持つ本来の強みにITテクノロジーを掛け合わせて、デジタルから取得できる行動履歴に基づきDMを発送するパーソナライズDMという手法が登場しました。

従来のDMとパーソナライズDMの違い

従来のDM パーソナライズDM
顧客データ タイムリーに活用できない タイムリーに活用できる
クリエイティブ 画一的な訴求のみ 顧客の属性や購買・行動履歴をもとに最適化
タイミング 同じ時期に発送 WEBの行動履歴に応じて発送

従来のDMはテレビや雑誌の広告同様、全ての人に同じ内容を同じタイミングで伝えていました。
そこでITの力。パーソナライズDMに進化したDMは、デジタル(EC)で得られた顧客の購入・行動データを、アナログの施策(DM)にタイムリーに連携。顧客一人ひとりのニーズに合ったクリエイティブのDMを発送することができるようになったのです。

メールやLINEなどデジタル中心のCRM施策に、アナログのアプローチを加えることで、デジタルではリーチできなかった顧客をカバー。 売上を最大化するEC通販企業が登場するようになりました。

パーソナライズDMの費用対効果が合う、3つの条件

ここまでパーソナライズDMのメリットをご紹介してきました。
こんなに便利な仕組みがあるのならこぞって利用したいところですが、すべての業種において費用対効果が見合うわけではないことをご説明しておかなければなりません。

先ず、導入にあたりネックになるのが1通あたり150円(ハガキサイズ)が水準である送付費用です。 1通150円は、売り上げで回収するにしてもそれなりに大変になりますね。業態や商材、企業特性などの条件の違いにも関わってきます。
いったいどんなお店がパーソナライズDMの導入に向いているのでしょうか。

条件1:多品種小ロットを販売する業態

販売している商品が1種類に近い業態では、「クリエイティブの最適化」において、商品というキラーコンテンツが活きづらい傾向にあります。少ない商品の種類だと「最適化」された商品の紹介はなかなか難しいのです。DMの内容に反映できません。

条件2:平均単価が数千円以上の商材

たとえばいくら沢山の商品を取り扱っていたとしても、商品単価が2,000~3,000円やあるいはそれ以下の場合、一通約150円のDMを出せるほどの利益は見込めません。
現状では、平均購入単価で数千円以上がパーソナライズDMの費用対効果が合うラインといわれています。

条件3:事業規模が大きく、デジタル投資をしてきた企業

メールやLINE、アプリなどデジタル施策は、ほぼコストゼロ(固定費のみ)で既存顧客全体にアプローチできます。 したがって、アパレルなど多品種小ロットのEC通販では、メールに加えLINE@やアプリの運用、それらを統合的に行うためのMAツールの導入などに先に取り組んだ方が、費用対効果が高い場合が多いのです。

パーソナライズDMに取り組むためには、その稼働工数や費用も含めて検討すると、レスポンスの絶対数から逆算し、一定以上の顧客数が必要になります。 すなわち、高い費用対効果が期待できるのは、「年商数十億円以上」など事業規模が大きく、デジタルに人材・費用とも投資をしてきた企業ということになるのです。

いかがでしたでしょうか。上記で挙げた3つのポイントに当てはまっていないとパーソナライズDMの導入はできないというわけではありません。パーソナライズはユーザーがより良い購買体験をすることを目的のひとつとしています。お客様目線で取り組むことが、何よりEC店舗の信頼や実績をあげることとなるのではないかと思います。

(via パーソナライズDM、EC通販企業は導入すべき?商材や業態など、費用対効果が合う3つの条件)

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