モビリティのパーソナライズ化~乗り物もそれぞれにフィットする時代へ~

自動車の誕生は1769年。最初は蒸気で走る自動車で、軍隊で使われる大砲運搬のために造られました。
それから250年の時が経ち、まだまだ加速する自動車の進化をパーソナライズという観点からご紹介していきたいと思います。

CES2019とMaaS

2019年01月08日~2019年01月11日、アメリカのラスベガスにて世界最大の家電・IT見本市、CES2019が開催されました。
ビジネス関係者を対象に、ロボットをはじめ、3Dプリント、デジタルイメージング、ワイヤレスデバイス、カーエレクトロニクスなど世界各国から著名な企業やスタートアップ企業など4500車を超える企業が出展し、最新の技術を発表しました。

クルマをはじめとする乗り物(Vehicle Technology)の出展をした企業はそのうち677社。
そしてトレンドは「MaaS」です。

MaaSはICT(通信技術を使って人とインターネットまたは人と人がつながる技術)を活用して交通をクラウド化します。
公共交通か否か、またその運営主体にかかわらず、マイカー以外のすべてのモビリティ(移動)を1つのサービスとしてとらえ、シームレスにつなぐ新たな移動の概念とされています。

分かりやすく例えると、現在はお出掛けをする際に自宅から目的地まで、電車・バス・飛行機・レンタカーなど様々な交通機関を乗り継ぐシチュエーションがあると思います。
乗り換えの都度チケットを買ったり、予約を取ったり、決済は各交通機関ごとに行なっていますね。
MaaSが実現すればその決済は、スマホなどで交通機関の検索からチケット予約、決済まで、一括で完了できるようになるのです。

自動車メーカーの提案

自動車メーカーに限らずですが、多くの企業で音声UI(User Interface)技術が導入されていました。
CMなどでも馴染み深い、Google社の「Googleアシスタント」とAmazon社の「アレクサ」が既にモビリティサービスに深く浸透している様子。

Bosch(ドイツ)

ボッシュはドライバーレスEVシャトルを世界初出展。
車両の予約、料金の支払い、他の乗客とのシェアにともなう必要なハードとソフト、新しいデジタルサービスも合わせて提案しました。

トヨタ紡織(日本)

日本からはトヨタ紡織の「MOOX」が出展されていました。
ビジネスやエンターテインメントなど、様々なサービスで空間活用されることを想定し、自由自在なシートレイアウトが可能なクルマ。
CES2019展示スペースではアニメキャラクターとのVRドライブデートが体験できたようです。

ダイムラー(ドイツ)

ダイムラーが展示したのは自動運転のコンセプトカー「Vision Urbanetic」。
トヨタのe-パレットのように用途に合わせてボディーを載せ替えることが可能です。

モビリティのパーソナライズ化

会場ではGoogleアシスタントやアレクサが浸透していたと前述しましたが、クルマと人をつなぐ技術として音声UIは効果を発揮しています。
音声UIによって乗車した個人を認識し、その趣味嗜好に合わせた車内サービスを実現。自動車だけでなくバイクも音声UIを搭載し、パーソナライズする提案が発表されていました。

自動車のパーソナライズの例として、中国のBYTON(バイトン)をご紹介します。
BYTONという会社、日本では馴染みが薄いですが、中国EV(電気自動車)スタートアップ企業で、CES2019展示スペースで「M-BYTE」というクルマを発表していました。

「M-BYTE」は車内のインパネ部分に左右に広がる49インチの巨大スクリーン、ハンドル中央にもディスプレーを配置。
展示ブースではAmazon Alexaと連携してカーナビにログインすると、EVの充電スタンドの選択や、充電中に利用者の好みに合ったレストランなどをレコメンドするなどの付加サービスを披露しました。

また、ドイツの有名自動車メーカーアウディは、自動運転時代を想定して「Audi Immersive In-Car Entertainment」と呼ぶ車内エンターテインメントを提案。
例えば、停車中の車内で映画を見ているとき、映像内の動きに応じてクルマのサスペンションがアメ車のハイドロの如く激しく上下運動するといったアイデアがありました。
車内空間の共有をパーソナライズして4Dライクな映像視聴環境をデザインしました。
移動中のエンタメ体験自体がクルマに乗る目的になる時代もすぐ目の前なのかもしれません。

今まで「移動時間」「充電時間」など、ムダと考えられてきた時間の使い方も、パーソナライズ化によって車内の体験が拡張され、有効活用出来るようになる。
それによってクルマによる移動体験をアップデートできるようになるという提案が多くありました。

MaaS時代にパーソナライズというポイントは大変重要なものとなるでしょう。
特にクルマの場合、公共のものでないので自宅と同じような体験を車内でできることは、よりパーソナルで満足度の高い体験を作りやすいといえます。
今回の展示から、その点に注目して各メーカーとも提案を行っていたような印象でした。

電気自動車・自動運転など時代はみるみるうちに変わっていきます。自動車が発明されたころの人たちはこの進化を想像もしていなかったのではないでしょうか。
そして私たちの想像できないような未来が技術で実現されることをとても楽しみに思います。

(via MaaS時代、クルマはどう変わる? 「パーソナライズ化」が加速)

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