教育をパーソナライズする~進化する教育の在り方~

わたしたちの時代の学校といえばおそらくどこの学校も、先生がいて、生徒がいて、皆が同じ内容を聞いて授業を受けるスタイルだったのではないかと思います。
理解が早い子、丁寧に考える子、塾で予習をしている子など授業を受ける生徒にもたくさんの個性があったのを覚えています。

今や教育もパーソナライズされている

タブレット学習などのハイテク学習も私は経験したことが無いので、それだけですごいと思ってしまいますが、なんとパーソナライゼーションが教育の分野へと進出しています。

人気のストリーミング動画配信サービスNetflixのCEO リード・ヘイスティングス(Reed Hastings)氏は数学教育スタートアップのドリームボックス・ラーニング(DreamBox Learning)に1100万ドル(約12億1000万円)を出資しました。
このドリームボックスラーニングは小中学校教育を補完するような教育プログラムを子供たちに提供しています。
ニューヨーク・タイムズによると、現在200万人以上の子どもたちが同社のソフトウエアを利用しているそう。

プログラムは、「レッスン」「ゲーム」「アニメーション」で構成され、ユーザーの理解度に適した内容が随時選択され、表示される仕組みとなっています。
昔、パソコンやDSで計算や漢字の読み書きを勉強したのを思い出します。
そのころは学習結果や、学習時間が記録されていました。
ドリームボックスでは、生徒たちの正答率や答えるまでにかかった時間などのパフォーマンス部分だけでなく、正答にたどり着くまでにどれくらいヒントが必要だったかなどもデータとして収集します。

収集したデータをもとに問題の難易度と解説スタイルを調整、より子供たちにフィットする学習へと進化を続けていくのです。

ハイテク学習は本当にいいものなのか?

ハイテクを駆使した学習が必ずいい結果を生むわけではないと研究では示されています。
たとえば、読み書き能力を上げる為のアプリNewselaのようなサービスを用いて読解力を向上させようとした結果、わずかな効果があったというケースはありますが、費用に見合った効果があることを示す長期的なデータは出ていません。

一方で、ドリームボックスの効果はいくつかの研究結果に支持されています。
ハーバード大学が2016年にドリームボックスのソフトウエアを導入した学校を対象に行なった研究によると、生徒のアプリ利用時間はまちまちで、全員が同じだけアプリを使用しているわけではありませんでした。
しかしながら、利用時間が長かった生徒ほど、数学の習熟度に上昇がみられたとのこと。

それぞれの生徒に合わせた進め方でアプリが説明してくれるので、じっくりと取り組んだ生徒はまんべんなく理解することができたということでしょうか。

教育のパーソナライズ化の価値

NetflixのCEO リード・ヘイスティングス氏だけでなく、マイクロソフトの共同創設者ビル・ゲイツ氏とFacebookのCEOマーク・ザッカーバーグ氏も教育のパーソナライズ化を高く評価しています。

ゲイツ氏はパーソナライズされた教育に期待をかける根拠として、1つの研究を挙げています。
この研究は、生徒が学習の方向性を主導し、教師はどちらかいうとメンターとして支える手法を取っている学校を対象にしました。
研究対象の62校では、多くの生徒が数学と読解力で、従来の学習方法をとっている生徒より高い得点を得たことが明らかになりました。
また、入学前は全米平均より低い点を得ていた生徒の多くが、入学2年後には平均点を上回るようになったのです。

この結果を受け、ゲイツ氏は「これらの学校は他にも素晴らしい取り組みを実施しているので、この結果がどこまでパーソナライズされた学習のおかげかはまだ分からない」と昨年8月に自身のブログに記しています。

ドリームボックスが教育にもたらす影響は大きなものとなる予感がします。
少なからず、親の学習への考え方も、生徒の学習への取り組み方もどんどん変わっていくことでしょう。

将来自分の子供や孫がパーソナライズされた教育を受ける時代が来るかもしれません。
その時自分は考え方についていけるのか、不安を抱きながらも技術の進化に大きな期待を寄せています。

ドリームボックス(http://www.dreambox.com/

最先端テクノロジーを活用する教育プラットフォームの中で成長中の1社。
適応型オンライン学習サイト「DreamBox Learning」は2008年にロンチした。
算数のレッスンのみならずパズル、ゲームなど500あまりのコンテンツを、学校やホームスクールにオンラインで提供している。
対象層は、幼稚園から5学年(小学5年生)まで。
レッスンを提供しながら各生徒の理解度を随時チェックし、1人の生徒から1時間に5万以上のデータポイントを収集する。
DreamBox Learningは地域差を問わず、すべての児童において初等教育の結果を向上させる。

今回の新しい資金を、「カリキュラムの拡大」「将来のための製品開発」「ユーザの拡大」にあてるとのこと。

(via テック系CEOが注目する次世代教育「パーソナライズ学習」とは)

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