ミレニアム世代のニーズに応える超パーソナライズ
平成初期に生まれ育ったミレニアル世代の間で、「超パーソナライズ」なる新しい消費トレンドが生まれているようです。
この記事では、超パーソナライズとそれを作り出した人々の価値観にフォーカスしていきます。
目に見えない消費をパーソナライズ
目に見えない消費を説明する前に、目に見える消費の例を考えてみます。以前記事でも少しだけご紹介させていただいたナイキのカスタムシューズやプリントTシャツは、その代表的な例で、自分の体に合った靴、自分の好みに合ったデザイン・装飾など、分かりやすく一人ひとりに合わせた商品を提供する形ですね。
さて、パーソナライズされるといえば上記であげたように、目に見えるものしかなかなか思い浮かびませんが、目に見えない消費・・・。とはいったいどういったものなのでしょうか。
色やデザインといった見た目を超え、からだの内面といった「見えない」特徴も捉えたアプローチ
見えない消費とはズバリ、体の内面、DNA的要素や心理的要素などの「物理的に見えない」パーソナリティーをデータ化して、それを商品へ反映するというものです。
特に顕著なのが化粧品。多くの人にあうように作ってある化粧品でも、個人差が出てしまうのは仕方ない。そういう時代は終焉を迎えつつあります。これからの時代は超パーソナライズによって、「見えない」特徴も捉えた唯一無二の製品に出会える機会がどんどん増えていきそうです。
120億通りの組み合わせ!
米ニューヨーク発のコスメブランド「Function of Beatuty」が提供するのは、ユーザーの髪質に合わせて100%カスタマイズできるシャンプーとコンディショナー。
WEBサイトへアクセスすると、”hair quiz”と称された簡単なアンケートが用意されています。自分の髪質を選択して進めていくと、自分にぴったりの成分・効果のシャンプーとコンディショナーを選ぶことができます。また、好きな香りの選択肢や、ボトルの色の選択肢、内容量や定期便の期間設定まで細部にわたって自分の好みで設定することができます。なんと全部で120億通りのチョイスがあるのだそう。
「キュレーション」という発想
一味違った切り口で、超パーソナライズされたサービスを提供しているのが、米サンフランシスコ発の「Ittse」。
化粧品を持ち歩いたことがある方ならご共感いただけると思いますが、外出するときにとにかくかさばったり、重かったり、何とかならないかと頭をひねったこと、あるのではないでしょうか。
そんな悩みにこたえてくれるのが、このIttseが提供するいいとこどりのサービス。
今サービスは、口紅やアイシャドーなど複数の化粧品を一つのパレットに自分好みに配置できるのです。またかわいいパッケージを選ぶことも可能。自分用だけでなくプレゼント用にご購入される方も多いとか。
消費者自身の価値観にあった商品
情報が簡単に誰でも発信出来て、簡単に手に入れられるようになった時代。YouTubeでメイクのチュートリアル動画を見て技術を磨くのは当たり前。ミレ二アル世代やセルフィー世代は美に関する知識が豊富で、求める質のハードルが高いのです。
個の存在を最大限に尊重し、加えて自己表現を大切にしているこの世代は、憧れのモデルや女優が使用している化粧品をそのまま真似るより、自分に合ったアイテムを使うほうが美しく見えることを知っています。
そんなミレニアル世代の潜在的ニーズに応えるものこそが「超パーソナライズ」。
自分を最大限に表現できる、ストレスフリーなものを求める流れは価値観の多様化とも結びつきます。その流れをいち早く取り入れ、消費者一人ひとりと向き合える仕組みを作っていくことが企業にこれから求められるものなのかもしれません。
そうやってこれからはファッション、化粧品以外のコンシューマ向け業界でも、「超パーソナライズ」のトレンドが広がっていくかもしれません。